WORK VIEW 2021より② -日本人の「働く」に対する価値観-

2021/7/8

「WORK VIEW 2021」は、コクヨのワークスタイル研究所から発刊された、リサーチに基づいたポストパンデミックの仕事観を考察したレポートになっています。

WORK VIEW 2021の主な章立て
第1章:プロローグ
第2章:「働く」を充足する体験要素
第3章:日本人の「働く」に対する価値観
第4章:働く場(ワークプレイス)への意識
第5章:仕事観から紐解く働き方戦略の未来
第6章:エピローグ

今回はこの中から第3章の日本人の「働く」に対する価値観について、簡単に紹介していきます。

WORK VIEW 2021とは

WORK VIEW 2021は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を最も受けた分野の1つである「働き方」に関して、日本国内約6,000人のワーカーに調査を行い、その結果を基にしたレポートです。大きく変化したワーカーの意識から、「よい」働き方や「よい」環境を紐解くとともに、先行き不透明なこれからの時代において、組織をしなやかに、そして強くする働き方の活用戦術も提示しています。

第3章の「日本人の『働く』に対する価値観」では、コロナ禍の影響も受けた日本人の「働く」との向き合い方を紐解いています。

①働くことの愛好性

「働くこと自体にいきがいや楽しみを見出す」

  • 働くことは自分のいきがいだ
  • 生涯何かしら仕事は続けていきたい
  • 仕事は辛いものというよりは、楽しいものだ

働くこと自体の好き嫌いを判断する仕事観で、この愛好性が強いほど仕事にいきがいや楽しみを見出し、仕事があるから生活が豊かになると考え、弱いほど生活のために仕事をすると考えやすい傾向があるようです。

②働き方のパーソナライズ志向

「業務内容や私生活の状況などに合わせて、柔軟に働き方を設計したい」

  • 働き方は、自分の状況や価値観に合わせて自由に設計したい
  • オフィスだけでなく、自宅やカフェなど仕事に合った場所を自由に選んだほうが生産性が上がる
  • 業務の合間に、休憩やプライベートなことをするほうが生産性は高まる

働き方を自主設計したい仕事観です。この仕事観が強いほど、働き方は自分の業務内容や私生活などの状況に合わせて柔軟に設計したいと考える価値観を持つようです。この仕事観が弱いほど、組織で決められた働く場や労働時間に従って働きたいと考える傾向が見いだせるようです。

③上昇志向

「地位や給与といったインセンティブにも動機づけられる」

  • 昇格、昇進は、働く上で強いモチベーションになる
  • 給与の高さは、働く上で強いモチベーションになる
  • なるべく周囲の人に良く見られたい

外的なインセンティブを重視する仕事観です。この仕事観が強いほど、仕事を通じて周囲に強い影響を与え、大きな対価を得たいと考える傾向にある。これは、自分の努力に対する対価の正当性を望み、その分仕事に強い責任感を持つ仕事観と言い換えられます。逆にこの仕事観が弱いほど、評価や報酬へのこだわりが弱く、良くも悪くも現在の自分の立場を受け入れていると考えらえるようです。

④オンリーワン志向

「自分ならではのスキルやポジションを築きたい」

  • 起業やフリーランスのような、自身の力で勝負するキャリアを歩みたい
  • 自身の仕事や勤め先を複数持ちたい
  • チームをけん引することは自分に適している

仕事に置いて「自分ならでは」を重視する仕事観です。その範疇はスキルやポジション、キャリアなど様々ですが、そこに独自性を盛り込みたいという意志の強さが反映される。特徴は、集団で活動する意識が高いほど強くなる傾向があることです。つまり、集団のいちメンバーとして存在しているからこそ、その中で独自性を出したい、もしくは独自性を必要とされて強くなる仕事観と言えるでしょう。

⑤個人志向

「チーム活動より個人活動に重きを置きたい」

  • 人と協業するより、個人で完結できる仕事が好きだ
  • 同僚とは仕事上のみの付き合いにしたい
  • 仕事の進め方は、細かく指示されるより、できる限り自身に裁量を委ねてほしい

業務活動を個人にゆだねられたい度合いが反映された仕事観です。この仕事観が強ければ個人活動に、弱ければ集団活動を中心に働きたいと考える傾向を示します。

⑥コミュニケーション積極性

「チームメンバーと積極的に意見交換したい」

  • 上司や同僚が困っていたり問題を抱えていたら率先して動けるほうだ
  • 新しいアイデアややりたいことを思いついたら、積極的にチームに共有するほうだ
  • 上司や同僚と考えが異なったら、意見を戦わせるほうだ

コミュニケーションの姿勢に関するもので、発言の積極性を表す仕事観です。この仕事観が強いことは、アイデアや意見、熱意などを積極的にチームや同僚へ発する傾向を意味します。この要素が弱いことは、他者の発言を受けて、自分の意見や感想を述べる姿勢が強いことを表します。

⑦安定志向

「働く上でいつもと変わらぬ日常性に心地よさを感じる」

  • 仕事内容や役割は、会社や上司から与えられるものだ
  • 新しい仕事より、馴染みのある仕事に取り組みたい
  • 上司や同僚と考えが異なったら、意見を戦わせるほうだ

普段と変わらない状況に心地よさを感じる仕事観です。この仕事観が強いほど、働く中で、突発性や新規制ではなく、反復性を求めやすいようです。そのようなワーカーには、なるべく馴染みのある仕事や大きな意思決定を求められない仕事が心地よさをもたらすでしょう。一方この仕事観が弱いワーカーは、働く中で刺激や非日常性を望む傾向にあるそうです。そのために同じことを繰り返す活動にモチベーションを維持しにくいと推測されます。


WORK VIEW 2021本編ではこういった仕事観に対する属性の比較をするとともに、それぞれの仕事観を4象限に分類して、それぞれの仕事観を持ったワーカーの特性を考察しています。この考察を読むことで、自身の仕事観を整理するのにも役立ちそうです。興味のある方は、ぜひ本編もご覧ください。

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第4章以降も引き続き紹介していく予定です。お楽しみに。

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